
初学者からベテランの捜査幹部まで幅広く愛用する
捜査法解説の決定版が待望の改訂!
本書は、平成元年(1989年) に初版を上梓した後、今日まで36年間にわたり、法改正や新判例・新実例等の蓄積を踏まえた改訂を重ねながら発刊を続けてきたものであるが、平成31 (2019) 年の第4版刊行後も、重要な法改正があり、また実務上有益と思われる裁判例等も蓄積されたことから、これを反映した第5版を刊行することとした。
初版のはしがきで、本書の執筆方針について、「�ー体磴紡┐�、『かゆいところに手が届く』コンパクトな捜査手続に関する解説を提供すること、�∩楮佐超�の変化に対応した捜査官の心構えを示すことにあります。」と述べた。36年の長きにわたって本書が読者に読んでいただけていることからして、この執筆方針は読者に支持されているものと考えている。そのため第5版も第4版と同一の執筆方針とする。
第4版刊行以降の捜査を取り巻く環境を見るに、ネットワーク技術・デジタル技術のさらなる発達及び普及を背景に犯罪が極めて巧妙化するなど、捜査を通じての真相解明の困難化が進行している一方、捜査手続における適正手続の確保の要請はより厳格化している。このように大変に厳しい捜査環境の下で、犯罪捜査に携わる捜査官・検察官に対して、実例に即し、捜査実務に役立つコンパクトな解説を提供するとともに、上記したとおりの厳しい「捜査環境」に対応するための心構えを示すことが本書第5版の発刊の狙いである。
刑事訴訟法第1条に示されているように、捜査において、実体的真実の解明の要請と適正手続の確保の要請はいずれも重要である。捜査官・検察官は、現下の「捜査環境」が上記のとおり厳しい状況にあることを肝に銘じ、真相解明と適正手続のいずれの要請にも万全に対処できるプロになることを目指し、日々の研鑽を重ねる必要がある。
いかなる時代であっても、捜査官・検察官は、真相を解明しようという気概と熱意を持って事件に向かい合うことが必要だということを特に申し上げておきたい。取り分け、適切な取調べによって真相を明らかにできる実力を身に付けることは変わらず重要と確信する。
その観点から、本書では、真相解明への気概と熱意を持つ捜査官・検察官に向け、取調べの適正の確保に十分配慮しつつ真相を引き出すための取調べの在り方や、獲得した供述の信用性確保の在り方などにつき丁寧に解説した。
第5版でも、「捜査手続に関する、実例に即し、実務に役立つコンパクトな解説を提供する」という狙いを実現するため、刑事訴訟法等改正に伴い導入・拡充された制度について、丁寧な解説を行うほか、「本書(第5版) の特徴」に記したように、解説内容・解説方法などで様々な工夫をした。
本書は、警察官をはじめとした捜査官・検察官を読者として想定しているが、捜査実務に関心を持つ司法修習生・法科大学院生・大学生などの一般の学習者にとっても、本書を通じて、捜査実務の最前線における論点を具体的に知ることができ有益と思われる。また、刑事捜査案件を久しぶりに手がける法曹実務家にとっても、本書は、実践的な学び直しに役立つであろう。
第5版の原稿を執筆するに当たっても、学者・実務家による多くの文献を参考にさせていただいた。また、現職の警察官・検察官からも貴重な教示をいただいた。これは現場で汗する捜査官等にとって真に役立つ解説を提供したいと念願する私にとって得難い羅針盤であった。心から感謝申し上げる。さらに、毎回のことではあるが、東京法令出版の編集・校正スタッフの方々に大変お世話になった。ここに改めて感謝申し上げたい。
最後になるが、本書のうち意見にわたる部分は、私の個人的な意見であり、私の所属し、又は所属した組織の意見でないことを申し添える。
令和7年(2025年) 5月
幕田 英雄



