トリアージとは、大きな災害や事故が起こったときに、限られた人物・物的資源の状況下で、最大多数の傷病者に最善の医療を施すため、傷病者の緊急度と重症度により治療優先度を決めることです。少数のスタッフ、限られた医療資材を活用して、救命可能な傷病者をまず選定し治療します。傷病者の数が多いほど、短時間のうちに判定することが重要です。
トリアージに際しては、トリアージ・タッグを使用して傷病者の識別が行われます。タッグの色は、治療優先度の高い順に赤、黄、緑、黒が用いられます。
4つに分類されています。
Ⅰ | 第一順位 | 重症群 | 生命にかかわる重篤な状態で、直ちに治療を行えば救命可能なもの | 例:緊張性気胸、心タンポナーデなど |
Ⅱ | 第二順位 | 中等症群 | 処置の時間が多少遅れても、生命には危険のないもの | 例:上下肢の骨折、意識のはっきりしている頭部外傷など |
Ⅲ | 第三順位 | 軽症群 | 救急搬送の必要のないもの | 例:打撲、ねんざ、小骨折、圧迫止血できる切創など |
0 | 第四順位 | 死亡群 | 生命兆候がないか、あっても現状では救命不可能なもの | 例:強い意識障害を伴う脳挫傷、80%を超える重症熱傷など |
実際には赤であっても、黒に近い赤から黄に近い赤まで、広い範囲の外傷がここに含まれます。これら色で表しきれない情報は、トリアージ・タッグに文字として記入します。同じ赤の傷病者が並んだときには、この文字情報が搬送順位の決め手になりますので、タッグへの記入はおろそかにできません。
トリアージの目的、トリアージ区分
出典:高橋功 監修・玉川進 編集 『2訂版 消防職員のためのトリアージ』 東京法令出版