危険物取扱者免状の返納命令については、消防法第13条の2第5項に定められている。その全国統一的な運用を図るため、返納命令に関する運用基準が自治省消防庁(現総務省消防庁)から示され、平成4年4月1日から運用が開始されたが、自治事務化に伴い、運用基準の一部改正が行われ、平成12年4月1日から新たな運用が開始されているところである。
危険物の貯蔵取扱形態は多種多様であり、違反形態も多岐にわたることから、これらを正しく把握し、適正な行政を行うためには、法理論だけでなく、実態に即した知識と経験が不可欠と思われる。
本書は、まず制度の概要をわかりやすく説明した上で、実際の事例の分析と処理方法等を整理し、ケーススタディーを通して適正な法令の運用と適用を学べるようにまとめたものである。
本書が、執務上の資料として、あるいは危険物取扱者の教育上の参考書として、予防事務に携わる消防職員に活用されれば幸甚である。
平成28年8月
査察行政研究会