消防隊員が消防活動に従事するにあたっては、身を危険にさらす場面もあり、文字どおり身を挺しての火災防ぎょ行動を強いられることは言をまたないところである。
現場活動を遂行する部隊員は、豊富な経験を持ち、さらに高度な知識を習得した技術力を有する集団である。
初心者は、この技術集団の一員として活躍することになるが、ベテランのように一朝にはできないものである。
ましてや危険がはらむ火災現場においては、習熟した者にも未熟な者にも危険性は等しく用意されていて、初心者には容赦がないのである。
本書は、隊員の危害防止を主眼に書き著したもので、「火災防ぎょ法」以外に火災現場の危険性を学び取れるようにし、特に初心者の方々には「イラストで学ぶ」を一貫して取り入れ、教科書や専門書をひもとく、前段の入門書にすることを主体に、火災防ぎょの基本をわかりやすく解説したものである。
幸いにして、発刊以来、多くの方々に好評を博していることから、さらに内容の一層の充実を図るため、今回は大火に関する項目を新たに取り入れた。酒田大火以降、国内では消防力の強化拡充が図られているため、大火に発展することはないといわれているが、条件次第では、糸魚川大火のような事態を招くおそれがあることから、大火の特徴やその対策について加筆したものである。
本書が関係各位の間で広く活用され、消防活動にお役立ていただけますれば幸甚である。
平成29年2月
火災防ぎょ教育研究会 菊地 勝也