7訂版の発行から8年ぶりの大改訂!
本書は、火災防ぎょ活動にあたる消防隊に役立てられることを目的に書き著したものである
防ぎょは文字どおり敵の攻撃を防ぐことである。ここではさしずめ敵は「火災」そのものである。
一度、火災が発生した場合には、燃え種が尽きるまで延焼拡大していく事象であることは周知のとおりである。
これに対処するため地方自治体に消防機関が設置され、その人員装備及び施設等の消防力によって、火災による被害の軽減を図ることが、火災防ぎょなのである。
これを達成するためには、火災の覚知とともに消防の部隊行動が開始され、消防隊の現場到着と同時に事前の計画や基本動作に基づく、一連の流れがスムーズに運ばれることによって、火災防ぎょが結実することになるのである
火災は、何が燃えているかによって、その対応も変わってくるのである。建物火災には消火水を用いて、また、油火災には泡薬剤を用いて消火するといった、火災の特徴によって防ぎょ方法も分類することができるのである。
火災の様相によって消火の方法も様々で、建物火災においては風下側に重点を置き、また、油火災にあっては風上側から消火にあたるといった多種にわたる防ぎょ法がとられる。
火災は常に刻一刻と拡大していくものであり、バックドラフトのような爆発的な性状を伴うものや、大規模火災のように時間とともに周囲に燃え広がるといった性質をもったものなどがあり、これらの火災も気象や地形、地物などによっても影響を受けるので、一筋縄ではいかないのも事実である。
出動部隊の消防力や火勢等を総合的に勘案しながら、迅速かつ適確な状況判断を下す現場指揮本部の役割は重大なものであり、消防力を発揮するためには、なくてはならない存在なのである。
火災防ぎょにも、一定の法則のようなものがあり闇雲に突っ走っても事は成就しないのも事実である。そこには綿密な段取りや戦略と戦術、そして安全管理等を加味しながら、時には繊細にして大胆といった信念を抱き行動することも大事なことである
この本が消防隊員の方々にお役立ていただけますれば幸甚である。
令和7年2月
火災防ぎょ教育研究会 菊地 勝也
【WEB掲載】