令和元年中の交通事故死者数は3,215人であり、3年連続で戦後最少を更新する状況となった。第一次交通戦争と称される時期の昭和45年中の1万6,765人、第二次交通戦争の平成4年の1万1,452人を考えると、警察をはじめ関係機関・団体や国民一人ひとりの取組の大きな成果といえる。しかしながら、高齢者人口の継続的な増加に伴い、死者数全体に占める高齢者の割合は、依然として高止まりの状態にあるほか、高齢運転者による痛ましい交通死亡事故の発生も続いている。
このような状況を踏まえ、自動車の自動運転の技術の実用化に対応した運転者等の義務に関する規定の整備を行うとともに、自動車又は原動機付自転車を運転中の携帯電話使用等に対する罰則の強化等を内容とする法改正が行われた。また、新たに運転技能検査制度の導入等を盛り込んだ高齢運転者対策などを内容とする改正道路交通法が令和2年6月10日公布されたところである。
さらには外国人の就労拡大等の社会環境の変化に対応した的確な道路交通対策が求められる状況にある。
最近の主な出来事としては、元号が「平成」から「令和」(令和元年5月1日)となったこと、消費税が8%から10%(令和元年10月1日)に引き上げられたことなどが挙げられる。特筆すべきことは、新型コロナウイルスの世界的な猛威により東京オリンピックの開催予定(令和2年7/24から8/9、パラリンピック8/25から9/6)が令和3年7月23日開幕、8月8日閉幕(17日間)、パラリンピックは8月24日から9月5日(13日間)へ開催延期になったほか、政府の緊急事態宣言を受け、あらゆる社会活動が自粛せざるを得ないかつて経験したことのない重大な事態となったことである。
「6訂版」の発行にあたり、主なものとしては、新たに令和2年4月1日施行(一部は令和元年12月1日施行)の改正道路交通法の内容等を盛り込んだほか、『資料編』の充実を図ったところである。引き続き、本書の活用が交通安全の確保に役立つことを願うものである。
令和2年9月