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3訂版
薬剤投与ハンドブック

編著/監修
編著:田中 秀治(国士舘大学大学院救急救命システム研究科教授)
体裁
B5判  224ページ
定価
3,300 円(消費税込み)
本体価格+税
3,000 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-2390-3
C3047 \3000E
発行日
平成27年2月10日
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本書の特徴

  • 救急救命士の処置範囲拡大に対応!!
  • 知識から手技・シナリオ、Q&Aまで、薬剤投与のすべてがこの1冊に!
  • 追加講習の副読本として、受講前の学習用として最適な1冊です。

はじめに

わが国において、平成3(1991)年の救急救命士法の制定により、救急救命士は心又は呼吸機能停止の傷病者に主に特定行為(器具を用いた気道確保、電気的除細動、薬剤投与)を行う病院前における医療従事者として活躍しはじめた。

救急救命士の導入効果として院外心肺停止の蘇生率は、平成3(1991)年の制度開始時には2.9%であったのに対し、平成23(2011)年の院外心停止全体の1か月後生存率は8.3%にまで大きく改善した。これは当然救急救命士の観察や判断の結果行われた処置の総和であるが、目撃ありの心原性心停止に対象を絞ると、バイスタンダーCPRの実施率やAEDの使用などの1次救命処置(BLS)の実施が高まったこと、救急救命士の行う気管挿管や静脈路確保、薬剤投与などの2次救命処置(ALS)の実施数が確実に増えてきていることから改善しつつある。

昨今、救急救命士不要論と結びつけるようなウツタイン統計の分析結果が出ているが、それは早計である。心停止となってしまった傷病者への処置よりも、心停止に陥らないような観察判断や救命処置を救急救命士が行うことによって、心停止の予防と予後の改善が図れるからである。このように平成26(2014)年4月からは、心停止となる前の傷病者に対して、救急救命士が新たに2剤の薬剤を投与することが認められた。これまでのものと合わせ計4剤が救急救命士に許された薬剤となる。

本稿では、これまでの救急救命士の処置の変遷、薬剤投与を行うようになった背景や今回拡大された処置の適応や理由、合併症などを詳細に記載した。

本書を新たに手にする諸氏が、正しく救急救命士による薬剤投与の理由とその効果を理解し、一人でも多くの命を救うことを願うものである。

平成27年1月吉日

国士舘大学大学院救急救命システム研究科教授 田中秀治


目次

  • 第1章 救急救命士の使用できる薬剤とメディカルコントロールや関係法規について
    • 1 救急救命処置の変遷と救急救命処置の拡大
    • 2 救急救命士法施行規則の変更と拡大される特定行為で使用する薬剤と適応
    • 3 今後の救急救命処置範囲の拡大と救急救命士の将来像
  • 第2章 薬剤の剤型の特徴と管理の原則
    • 1 薬剤の保管に関する法律と医薬品医療機器等法
    • 2 乳酸加リンゲル液を含む細胞外液の特徴と管理
    • 3 50%ブドウ糖溶液の特徴と管理
    • 4 アドレナリン注の特徴と管理
    • 5 エピペンの特徴と管理
  • 第3章 薬物動態と薬剤の投与経路
    • 1 薬の生体内での動態
    • 2 薬の投与経路
  • 第4章 薬剤投与にかかわる救急救命処置スキル
    • 1 静脈路確保スキル
    • 2 薬剤投与スキル
    • 3 心肺機能停止前の静脈路確保と輸液の実施
    • 4 血糖測定スキル
    • 5 エピペン投与スキル
    • 6 家族へのインフォームドコンセントスキル
    • 7 MC医師への的確な情報伝達と指示要請スキル
  • 第5章 心停止傷病者に対するアドレナリン注の投与プロトコール
    • 1 心停止におけるアドレナリン注の静脈投与の意義と適応と禁忌
    • 2 心室細動(VF)と無脈性心室頻拍(VT)の病態
    • 3 電気的除細動と薬剤投与・気道確保の実施と効果
    • 4 インフォームドコンセントとオンラインメディカルコントロール
    • 5 アドレナリン注の投与プロトコール
    • 6 アドレナリン投与後の効果測定と救急救命士報告と合併症の確認
  • 第6章 非心停止傷病者に対する50%ブドウ糖溶液投与プロトコール
    • 1 意識障害の鑑別とブドウ糖溶液投与プロトコールの意義
    • 2 低血糖の病態とブドウ糖溶液投与の適応と禁忌
    • 3 インフォームドコンセントと指示要請
    • 4 ブドウ糖溶液投与プロトコールの実施とポイント
    • 5 50%ブドウ糖溶液投与後の効果測定と救急救命士報告と合併症の確認
  • 第7章 ショック傷病者に対する乳酸加リンゲル液投与プロトコール
    • 1 各種ショックの病態と乳酸加リンゲル液投与の意義
    • 2 乳酸加リンゲル液投与プロトコールの実施とポイント
    • 3 インフォームドコンセントと指示要請
    • 4 乳酸加リンゲル液投与後の効果測定と救急救命士報告と合併症の確認
  • 第8章 エピペンの筋注とその適応と合併症
    • 1 アナフィラキシーショックの病態
    • 2 エピペン(筋注)とその適応と合併症
    • 3 エピペン(筋注)の使用方法
    • 4 エピペン(筋注)投与時の合併症と問診のポイント
    • 5 アナフィラキシー症状の傷病者に対する聴取のポイント
    • 6 エピペン投与後の効果測定と救急救命士報告と合併症の確認
    • 7 インフォームドコンセントと指示要請
    • 8 指示要請について
    • 9 エピペン投与プロトコールの実施
  • 第9章 想定シナリオ
    • 1 心室細動/無脈性心室頻拍想定シナリオ(5想定)
    • 2 無脈性電気活動想定シナリオ(10想定)
    • 3 心静止想定シナリオ(4想定)
    • 4 低血糖想定シナリオ(4想定)
    • 5 各種ショックに対する活動想定シナリオ(6想定)
    • 6 アナフィラキシーショックに対する活動想定シナリオ(2想定)
  • 第10章 薬剤投与Q&A
    • 1 資器材管理・取扱い
    • 2 静脈路確保
    • 3 心肺機能停止前の重度傷病者に対する静脈路確保及び輸液
    • 4 薬剤投与
    • 5 心肺機能停止前の重度傷病者に対する血糖測定及び低血糖発作症例へのブドウ糖溶液の投与

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