我が国の交通情勢は、交通事故死者数が12年連続で減少するなど、官民を挙げた交通事故防止対策に一定の成果が見られるところです。
しかしながら、自転車の交通事故については、交通事故全体の件数が減少傾向にある中で、全交通事故の2割を占め、その占める割合が増加傾向にあります。特に、自転車対歩行者の交通事故は10年間で約1.5倍に増加しており、そのほとんどで自転車が第1当事者となっていることから、歩行者にとって、自転車の脅威が大きなものとなってきています。
自転車は、幼児から高齢者まで幅広い層に利用され、特に最近では、東日本大震災による交通の混乱等を機に、通勤手段等としても注目を集めており、引き続き自転車の利用の進展が見込まれるところですが、その交通ルール・マナー違反に対する国民の批判の声は後を絶たず、通行環境の整備も不十分な状況にあります。
こうした状況を踏まえ、平成23年10月、交通局長通達「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」を発出し、自転車に関する総合対策を進めているところであり、本書は、この総合対策の内容、都道府県警察における取組、自転車に係る主な交通ルールについて取りまとめるなどしたものとなります。
本書が、交通安全対策担当者のみならず、広く交通行政、交通安全に関心のある方々の参考となり、良好な自転車交通秩序の実現のための一助となれば幸いです。
平成25年2月
警察庁交通局交通企画課長 廣田耕一