元浦和地検検事正、元東京地検特捜部検事、そして現在は弁護士でもある著者が捜査官の真の姿を活写!
本書は、『特捜検事の「証拠と真実」』(平成10年・講談社)を一部補訂し、改題・復刊したものです。
警察が敢然と挑んだ愛犬家連続殺人事件捜査に熱血をもって対した検事正。その清水さんが、取調や立証活動の核心を迫真的に綴った。
千葉大チフス菌事件、ロッキード事件の立証行動の
検事生活の一端も覗けて実におもしろい。
この本には、千葉県警が苦心惨憺の末まとめ上げた「千葉大チフス菌事件」(細菌魔事件)、東京地検特捜部と警視庁、東京国税局査察部が異例の合同捜査班を組み、それぞれの持ち味を生かして解明した「ロッキード事件」、埼玉県警が群馬県警の応援を得て厳寒の十二月、大勢の警察官を冷たい谷川に投入し、徹底した川浚いをして動かぬ物証を発見した「愛犬家連続殺人事件」、刑事の執念が遂に実った「釧路管内賄婦強盗殺人事件」、正に人間の皮をかぶった鬼畜の仕業としか思われない「名古屋管内大高緑地アベック殺人事件」など、事件に深く関与した者として次の世代へ語り継いでいきたい多くの事件が収められています。
付録として、「人を取り調べるということ」を添えておきました。
A地検での講演速記録にB地検とC地検での講演録を加味して構成したものです。
捜査の成否を左右するのは取調べ能力で、いわば対面的コミュニケーション能力です。
これが捜査官への私の遺言です。
(本書「はしがき」より)