犯罪被害者支援マニュアルの決定版!!
実務の観点から、犯罪被害者支援に必要な全ての情報が詰まった1冊!
補訂版は、初版発行後の法改正(刑法、犯罪被害給付制度、総合法律支援法 等)を反映したものになっています。
犯罪被害者支援は、古くて新しいテーマです。加害者がいれば被害者がいます。犯罪被害に遭うという重大な人権侵害を受けた方が被害と尊厳を回復することは当然の権利と言えます。
諸外国では、犯罪被害者支援は各国によって様々な工夫がされており、歴史もあり、制度なども充実しています。一方、我が国では、犯罪被害者参加制度及び損害賠償命令制度が始まってから今年でようやく10年で、この分野は日々、法改正や支援の充実がなされるなど変化しています。
本書は昨年出版されたばかりですが、この度、好評を得て増刷することになりました。この間も重要な法改正が行われましたので、それらの内容も新たに盛り込んでおります。主なものとしては、刑法改正(強制性交等罪の新設・性犯罪の非親告罪化等)、犯罪被害給付制度の改正(親族間犯罪の不支給見直し等)、総合法律支援法改正(ストーカー・DV・児童虐待法律相談料の一部国費化等)です。
当委員会は、今後も研究を重ね、新たな情報を提供してまいります。時に、法律家として「人権保障とは何か」という原点に返りつつ、犯罪被害者にとって必要な具体的支援を考えて実践していくのが新しい人権分野である犯罪被害者支援の醍醐味であると考えます。本書が被害者支援に携わる皆様方の座右の書となれば幸甚です。
平成30年10月
第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会
委員長 宮川 倫子
第一東京弁護士会では、平成10年5月から犯罪被害者問題の研究を始め、総合法律研究所内に「被害者弁護制度研究会」を発足し、平成11年7月に「犯罪被害者保護に関する委員会」が設置され、その後、名称を「犯罪被害者に関する委員会」と変更し、今現在に至るまで、犯罪被害者事案の問題の研究及びその対応を継続して行い、その研鑽を積んで参りました。
その間、犯罪被害者のことに関しましては、平成16年12月に犯罪被害者等基本法が制定され、その後も、実情に合わせた改正が行われ、また、刑事訴訟法や他の関係各法も改正されて、平成20年12月からは、被害者参加制度及び損害賠償命令制度が始まり、その後も、多数の法改正及び法制度の整備がなされております。
現在、弁護士はもちろん、警察・検察庁・地方公共団体・民間支援団体等の関係機関による犯罪被害者の問題への対応と支援が行われておりますが、なればこそ、上記のとおり多くの法律や制度の改正がなされている分野ですので、法律の専門家である弁護士として、最新の情報の理解が必要ですし、また、法制度等の個別具体的な利用方法の理解が重要です。
加えて、犯罪被害者の問題に関して、具体的な対応を行う場合には、二次被害に配慮するという被害者への対応特有の問題点や、個々の法律や制度を横断的に使わなければならない場合もあり、また、関係機関等の連携や協力が必要となる場合もあります。
本書は、「犯罪被害者に関する委員会」の大澤孝征前委員長のもとで、4訂版まで出版した「ビクティム・サポートマニュアル−犯罪被害者支援の手引き−」を、渡邊洋委員長のもと、多士多彩かつ精鋭なる委員が、さらなる推敲を重ねて、犯罪被害者問題のあらゆる事案や場合への対応を想定し、一冊の本にまとめ上げたものです。
全国の弁護士や関係機関の方々が、実際に、犯罪被害者の問題に対処するに当たって、必ずや役立つ必携の書になるものと考えておりますので、是非、お手元にお置きいただき、ご活用いただければ幸いです。
最後に、本書を作成するに当たり、ご尽力なされた、「犯罪被害者に関する委員会」の渡邊洋委員長、執筆に携わった各委員の方々並びにご協力いただいた他会の先生方に対し、敬意を表するとともに、深く感謝の意を表します。
平成29年6月
第一東京弁護士会
会長 澤野 正明