最新の法改正に準拠した改訂版
制度・必要書類…被害者支援に係る全てが1冊に。
経験豊富な弁護士による執筆。対応の流れが分かるチャートや書式例など、犯罪被害者支援に必要な全てが登載されています。
当委員会は、平成30年の増刷に合わせて本書の補訂版を発刊しましたが、その後も好評をいただきました結果、今回、さらなる増刷に合わせて、2訂版を出版することとなりました。今回の2訂版では、補訂版出版後に行われた法改正等の内容も盛り込んでおります。主なものとしては、ストーカー規制法の改正やプロバイダ責任制限法の改正がありますが、その他に民法の改正や第4次犯罪被害者等基本計画の策定に基づく変更点なども反映しております。
平成16年に犯罪被害者等基本法が成立して以降、我が国における犯罪被害者に関する法制度は大きく変わり続けており、例えば、被害者参加制度により犯罪被害者も刑事裁判に参加をするということが可能になり、また、損害賠償命令制度により損害賠償を請求するに当たって従来の民事裁判よりも簡便な手続で行うことが可能になり、それ以外にも、犯罪被害者の存在を踏まえた法改正や制度設計、運用などが行われるようになっております。
これらの法的な変革は、非常に大きな変化と言えますが、いずれも、正に、犯罪被害者のために必要であるとして認められたものですし、また、国民や社会の理解の基に進められた変化であることから、法曹として、理解することが重要と考えております。
本書は、大きく変わりつつある犯罪被害者に対する支援(特に、法的な手続や具体的な対応方法等)について、横断的な理解や個別具体的な場面や事例ごとによる対応についてまとめており、手前味噌ではありますが、多数の執筆者や編集者の協力により、犯罪被害者の支援に携わる方々にとって、有意義な一冊に仕上がったと思います。
本書が、犯罪被害者の支援に携わる多くの方々の手助けとなれば幸いです。
今現在もまだ、犯罪被害者の尊厳が十分に尊重されているとは言えず、また、被害者の権利の回復も十分になされているとは言えない状況です。特に、被害者に生じた損害については、加害者に資力がないということが多く、被害者が泣き寝入りをせざるを得ないという事例も多数あるなど、犯罪被害者の支援という分野には、まだまだ多くの課題が残されています。
当委員会は、今後も課題等の研究に取り組み、少しでも犯罪被害者の権利が適正に回復されるように、継続して活動を行っていきたいと考えております。
令和4年10月
第一東京弁護士会犯罪被害者に関する委員会
委員長 大澤 寿道