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刑事法判例の最前線

編著/監修
前田 雅英(日本大学大学院法務研究科教授)
体裁
A5判  336ページ
本体価格+税
2,700 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-1401-7
C3032 \2700E
発行日
令和元年7月1日
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本書の特長

最新の重要判例を読んで“刑事法の今”を理解!

刑事法学の大家・前田雅英先生が、最新の重要判例を基に、実務における法解釈の筋道を解説!迷わずに、適法な捜査・公判活動に取り掛かることができます。


  • 刑事法の最新重要判例を、前田雅英先生が集約!
    年間約1万人に講義を行い、実務家からの信頼も厚い著者が、刑法総論、刑法各論、刑事訴訟法の最新重要判例を1冊に集約しており、現在の判例の考え方を正確に理解できる。
  • 近時の動向や核となる考え方に焦点を当てた解説付き!
    重大事件の発生などによる社会の変化によって、現在の刑事法の解釈・運用がどのように影響を受けたかを、具体的事件を基に分かりやすく解説。
  • 「判旨」と「解説」を読み込めば昇任試験対策も万全
    分かりやすい「判旨」と「解説」が登載されているので、判例が理解しやすく、昇任試験対策にも最適。

はしがき

法律学とは、過去の蓄積、そしてそれが「発酵」したところから学ぶところの多い学問かもしれないが、一方で法の理論も変化していく。「法」とは、理論を踏まえながらも、法を必要とする社会の要請に応ずるものでなければならないからである。その意味では、法の変化の最前線を意識することが何より重要だともいえる。そして、「最前線」は、法理論研究の発展や立法の変化にも存在するが、法の変化は、圧倒的に判例を通して認識されることが多い。

平成が終わり、令和を迎えた。伝統的な法学部では、創立130年を超えるところがいくつかある。日本の現在の大学の源流が、「進んだ西欧法の最新の議論を紹介し、学ぶ法学部」にあるといっても、あながち誇張ではない。そして、法律学は明治、大正、昭和、平成の時代を経て現在に至る。その中で、「外国を手本に正しい法理論を探求する」という流れがあった。法解釈学は、あくまでも日本社会を制御するための「道具」であり、外国法は、そのための参考にすぎない。昭和の時代からの認識は、徐々に強まってきてはいたが、平成の法の加速度的変化は、法律学の有り様にも大きなインパクトを与えた。裁判員裁判制度の導入、法科大学院の存在などにより、その方向への傾斜が強まった。

これまでの年号は、中国の古典から借りてきたものであったが、令和は、国書から引用されたのである。法律学の変化を象徴しているとまではいえないが、法律学に生じていた変化を自覚させるものともいえる。

もちろん、「生の法」をそのまま表現したら「理論」ではなくなる面がある。本書は、刑事法の領域で登場してきた判例を分析することにより、「法解釈」の最前線を把握しようとするものである。判例そのものの変化の紹介ではなく、変化の根底にあるものを、明らかにしようと試みたつもりである。

刑法、刑事訴訟法にまたがり、多岐にわたる論点を検討するが、まさにそのことにより、現在の刑事法解釈のフロントラインが明らかになると考えている。


読者として様々な方々を想定しているが、必ずしも専門的知識を前提としてはいない。最近の刑事法解釈の変化、さらにはそれを導く法意識の変化、より根底的には、社会の変化をできるだけ分かりやすく示したつもりであるが、その評価は読者に委ねるしかない。

本書の完成は、東京法令出版の多くの方々の骨身を惜しまないご尽力によるものである。ここに厚く御礼を申し上げる次第である。

前田 雅英


目次

  • Ⅰ 刑法総論
    • 第1講 罪刑法定主義と構成要件の実質的解釈
      • ① 構成要件解釈の限界  ―ストーカー規制法の解釈(東京高判平成24年1月18日)
      • ② 行政刑罰法規の実質的解釈と故意の認定(広島高岡山支部判平成28年6月1日)
    • 第2講 構成要件と違法性
      • ○ 主観的超過要素  ―行為者の性的意図の満足と強制わいせつ罪の成否(最大判平成29年11月29日)
    • 第3講 未遂犯
      • ○ 実行の着手時期(最二小判平成26年11月7日)
    • 第4講 故意と錯誤
      • ① 薬物の認識と故意の認定(東京高判平成28年11月4日)
      • ② 被害者の同意と錯誤  ―刑法202条の解釈(札幌高判平成25年7月11日)
    • 第5講 現代社会の過失犯
      • ① 過失不作為犯と作為義務(最一小決平成28年5月25日)
      • ② 急激な天候悪化と山岳事故の予見可能性(東京高判平成27年10月30日)
    • 第6講 違法性阻却事由
      • ① 侵害の予見と急迫性(最二小決平成29年4月26日)
      • ② 緊急避難  ―覚せい剤の自己使用と緊急避難(東京高判平成24年12月18日)
    • 第7講 責任能力の最前線
      • ○ 責任能力の総合判定(最二小判平成27年5月25日)
    • 第8講 共犯論
      • ① 同時傷害の特例と共同正犯の因果性(最三小決平成28年3月24日)
      • ② 承継的共同正犯(最三小決平成29年12月11日)
      • ③ 過失の共同正犯(最三小決平成28年7月12日)
      • ④ 精神的幇助(最三小決平成25年4月15日)
    • 第9講 刑罰論
      • ○ 1人を殺害しても死刑になる場合(最二小決平成27年2月3日)
  • Ⅱ 刑法各論
    • 第1講 生命身体に対する罪
      • ○ 傷害の意義  ―医学の進歩と概念の相対性(最二小決平成24年7月24日)
    • 第2講 業務に対する罪
      • ① 犯行予告による警察官の出動と業務妨害罪(東京高判平成25年4月12日)
      • ② 威力業務妨害罪と実質的違法性阻却(大阪地判平成26年7月4日)
    • 第3講 財産に対する罪
      • ① 詐欺罪の欺く行為と「重要な事実」(最二小判平成26年3月28日)
      • ② 詐欺罪の着手時期(最一小判平成30年3月22日)
      • ③ 詐欺罪の損害額(東京高判平成28年2月19日)
      • ④ 組織的犯罪処罰法と組織詐欺罪(最三小決平成27年9月15日)
    • 第4講 偽造の罪
      • ① 名義人の承諾と文書偽造罪と財産犯(横浜地判平成29年3月24日)
      • ② 公正証書原本不実記録罪の「虚偽の申立て」と暴力団排除(最一小判平成28年12月5日)
    • 第5講 風俗秩序に対する罪
      • ○ 刑法175条の「頒布」の意義と犯罪実行場所(最三小決平成26年11月25日)
    • 第6講 公務に対する罪
      • ① 公務執行妨害罪と職務の適法性(東京高判平成27年7月7日)
      • ② 公務員職権濫用罪(岐阜地判平成27年10月9日)
    • 第7講 犯人蔵匿・証拠偽造罪
      • ① 犯人隠避罪(最二小決平成29年3月27日)
      • ② 参考人の供述調書作成と証拠偽造罪(最一小決平成28年3月31日)
  • Ⅲ 刑事訴訟法
    • 第1講 任意捜査と強制捜査―留め置き(東京高判平成22年11月8日)
    • 第2講 「留め置き二分論」に消極的な判例(札幌高判平成26年12月18日)
    • 第3講 いわゆるGPS捜査の合憲性(最大判平成29年3月15日)
    • 第4講 DNAサンプル採取目的を秘して行った行為の強制処分性(東京高判平成28年8月23日)
    • 第5講 所持品検査の適法性(大阪高判平成28年10月13日)
    • 第6講 罪証隠滅のおそれと勾留請求却下(最一小決平成26年11月17日)
    • 第7講 接見交通の秘密性の確保と弁護活動(岐阜地判平成25年10月25日)
    • 第8講 抽象的事実の錯誤と訴因変更の要否(東京高判平成25年8月28日)
    • 第9講 税関の検査によって得られた証拠と令状主義(最三小判平成28年12月9日)
    • 第10講 DNA型鑑定(最一小判平成30年5月10日)
    • 第11講 違法収集証拠排除と違法な自白から得られた二次証拠(東京高判平成25年7月23日)
    • 第12講 捜査状況報告書の証拠能力(最一小決平成27年2月2日)
  • 判例索引

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