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覚醒剤Q&A
捜査官のための化学ガイド

編著/監修
井上 堯子・田中 謙
体裁
A5判  128ページ
定価
1,320 円(消費税込み)
本体価格+税
1,200 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-1464-2
発行日
令和5年7月1日
初版11刷発行
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※本書は、(株)令文社から平成11年に発行(初版)された
「改訂版 覚せい剤Q&A―捜査官のための化学ガイド―」
の内容を全面的に見直し、小社から発行するものです。

本書の特色

覚醒剤事犯捜査のためのロングセラー、
増刷に当たり補訂


本書は、平成10年の初版発行以来、「覚醒剤の基礎知識が、図解、写真入りで分かりやすく解説されている」「捜査官、検事、弁護士等からよく出る疑問点が、Q&A形式で網羅されている」「検査法についても詳しく解説され、実務での実践的な留意事項が分かる」と好評をいただいてまいりました。

今回の増刷に当たっては、最近増加している被疑者からの受動喫煙に関する抗弁を追加したほか、「覚せい剤取締法」の表記が「覚醒剤取締法」に改められたこと、覚醒剤原料を指定する政令の改正などに対応して加筆しました。

薬物事犯は、新しい薬物が次々と登場して多様化が進んでおりますが、依然として覚醒剤事犯が薬物犯罪の主流を占めています。また、捜査手続の適法性が争われた事案についても、薬物事犯の占める割合が依然として高い状況にあります。昔からある薬物事犯と侮らず、これを機会に、本書を後輩への教養のために活用してはいかがでしょうか。



  • 覚醒剤の基礎知識、基本的な薬理作用から具体的な検査方法までを分かりやすく解説。
  • 第一線の実務家からの実際の問合せを基にまとめられた実戦的な内容。
  • 図表や構造式を用いた、化学的で分かりやすい内容。

改訂版の出版にあたって

本書を出版してから、 早十年が経ちました。 この間、 乱用される薬物としては、 MDMAをはじめとして新しい薬物が次々と登場して多様化が進み、 その入手方法もインターネットの利用など新しい方法が繁用されるようになってまいりました。 しかし、 依然として覚せい剤事犯が薬物事犯の主流を占め、 残念ながら大きな社会問題の一つであることに変わりはありません。

今回、 本書発行の出版社変更に伴い、 検査法の詳細説明など加筆・訂正を行い、 改訂版として出版することといたしました。 これまで以上に覚せい剤事犯捜査の一助となれることを願っております。

改訂版の出版にご尽力頂きました東京法令出版社長星沢哲也氏ならびに松宇正一氏にお礼申し上げます。

平成20年11月

井上 堯子

この度の増刷に当たって、最近増加している受動喫煙の抗弁に関連して、Q40に補足説明を加えました。また、「覚せい剤取締法」の表記が「覚醒剤取締法」に、文中の「覚せい剤」も「覚醒剤」に改められたことに合わせ、本書の表記も「覚醒剤」に改めました。さらに、覚醒剤原料を指定する政令の改正に合わせてQ8を加筆訂正しました。

これまで以上に本書を広くご活用頂けましたら幸いです。

令和3年10月

井上 堯子


はじめに

覚せい剤の乱用は一向に鎮静化が見られず、 最近は、 むしろ、 中高生へも拡大し、 第三次覚せい剤乱用期に突入したといわれています。  覚せい剤事犯の立証に際し、 容疑物件が覚せい剤であることを明らかにし、 また、 容疑者が覚せい剤を摂取していたことを明らかにすることは不可欠であり、 鑑定・検査が大きな役割を果たしております。 しかし、 捜査や司法に携わる方々にとって、 鑑定・検査に関連した化学的な側面や、 容疑者が申し立てる様々な事柄の正否を判断する基になる科学的な理論や事実については、 なかなかなじみが薄いようであり、 著者等は、 これまで、 様々の質問や問い合わせを受けてまいりました。

本書は、 著者等がこれまで覚せい剤鑑定に関連して、 警察大学校、 司法研修所等での講義の際に受けた質問や、 捜査官、 検事、 弁護士の方々から受けた問い合わせ等を基に、 覚せい剤鑑定に関する問題をQ&A形式にまとめたものであります。 捜査官の疑問にお答えでき、 覚せい剤事犯捜査に少しでも役立てれば、 この上ない喜びであります。

本書の出版に当たり、 いろいろと御助言、 御指導を賜りました前科学警察研究所副所長瀬田季茂博士に深く感謝申し上げます。 また、 出版に御尽力頂きました令文社の北原建彦氏にお礼申し上げます。

平成10年9月

井上 堯子


目次

  • 覚醒剤の化学
      • Q1 覚醒剤とは何ですか?
      • Q2 メタンフェタミンとメタンフェタミン塩酸塩 (塩酸メタンフェタミンともいいます。)とはどのような違いがありますか?
      • Q3 覚醒剤メタンフェタミン塩酸塩は、 水に溶けた状態でも、 塩酸塩のままで存在するのですか?
      • Q4 覚醒剤には光学異性体があるといわれますが、 それは何ですか?
      • Q5 覚醒剤はどのような方法で密造されるのですか?
      • Q6 覚醒剤メタンフェタミンの光学異性体の間にはどのような違いがありますか?
      • Q7 覚醒剤の比重はどのくらいですか?
      • Q8 覚醒剤原料とは何ですか?
  • 覚醒剤の薬理作用と中毒作用
      • Q9 覚醒剤はどんな効果を示すのですか?
      • Q10 覚醒剤は中枢神経系でどのようにして薬理効果を示すのですか?
      • Q11 覚醒剤の中毒量・致死量はどのくらいですか?
      • Q12 覚醒剤の急性中毒症状はどのようなものですか?
      • Q13 覚醒剤の慢性中毒症状はどのようなものですか?
      • Q14 フラッシュ・バックとは何ですか?
      • Q15 覚醒剤の慢性中毒症状はどのくらい覚醒剤を乱用すると現れるのですか?
      • Q16 フラッシュ・バックはどのくらいで現れるのですか?
  • 覚醒剤の吸収・代謝・排泄
      • Q17 覚醒剤の代謝物にはどのようなものがありますか?
      • Q18 覚醒剤は摂取方法によって作用等に違いがあるのですか?
      • Q19 覚醒剤が静脈注射により摂取された場合と経口で摂取された場合ではどのような違いがあるのですか?
      • Q20 覚醒剤を加熱し、 気体として吸入した場合ではどのような違いがあるのですか?
      • Q21 覚醒剤は、 皮膚や粘膜からも吸収されるのですか?
      • Q22 覚醒剤が排泄される態様として、 尿、 汗、 唾液、 精液、 毛髪などが考えられますが、 これらからも覚醒剤を検査することができますか?
  • 尿を資料とした覚醒剤の検査
      • Q23 尿鑑定に必要な尿の量はどのくらいですか?
      • Q24 尿鑑定はどのように実施されるのですか?
      • Q25 尿資料からの覚醒剤の抽出はどのように実施されるのですか?
      • Q26 薄層クロマトグラフィー(TLC、Thin Layer Chromatography)とはどんな検査法ですか?
      • Q27 ガスクロマトグラフィー(GC、Gas Chromatography)とはどんな検査法ですか?
      • Q28 赤外吸収スペクトル(IR、Infrared absorption spectrum)の測定とはどんな検査法ですか?
      • Q29 ガスクロマトグラフィー / 質量分析(GC/MS、Gas Chromatography/Mass Spectrometry)とはどんな検査法ですか?
      • Q30 覚醒剤使用被疑者が、時折、「尿鑑定が陽性となったのは、採尿後に覚醒剤を混入されたため」と抗弁することがありますが、尿から覚醒剤が検出された場合、どのようにして、 それが覚醒剤を使用したためであると明確にされるのですか?
      • Q31 メタンフェタミン塩酸塩を使用した者の尿についての鑑定書には、 「尿にメタンフェタミンの含有が認められた」 旨記載され、 メタンフェタミン塩酸塩とは記載されませんが、 なぜですか?
      • Q32 覚醒剤の尿中排泄期間はどのくらい (摂取後いつからいつまで検出可能) ですか?
      • Q33 覚醒剤をどの程度服用した場合、 通常の尿鑑定で検出可能ですか?
      • Q34 膣内に覚醒剤を塗布した場合、 尿から覚醒剤が検出されますか?また、 この場合、 性交により男性の尿から覚醒剤が検出されますか?
      • Q35 「覚醒剤を乱用している者の尿、 唾液、 精液あるいは膣液を飲んだので尿鑑定で覚醒剤が検出された」 旨抗弁する場合がありますが、 そのようなことはありますか?
      • Q36 「かぜ薬等市販の医薬品を複数服用していたので尿鑑定で覚醒剤が検出された」 旨抗弁する場合がありますが、 そのようなことがありますか?
      • Q37 代謝されて体内で覚醒剤を生成する薬物はあるのですか?
      • Q38 キムチを食べると尿から覚醒剤が検出されるというのは本当ですか?
      • Q39 他の薬物を併用して、 尿鑑定で覚醒剤を検出できなくなるよう覚醒剤の排泄を止めることができるのですか?
      • Q40 覚醒剤を加熱吸引していた者と同室にいた場合、 本人が吸引していなくても尿から覚醒剤が検出されますか?
      • Q41 覚醒剤使用者が、 「ヴィックス・インヘラーという鼻づまりの薬を使用したのであって、 覚醒剤を使用したのではない」 旨抗弁することがありますが、 それはどういうことですか?
      • Q42 地面へ放尿した場合、 どの程度の土を採取すれば検査可能ですか?また、 時間の経過により地面が乾燥した場合でも検出可能ですか?
  • 毛髪を資料とした覚醒剤の検査
      • Q43 覚醒剤を使用すると、 どうして毛髪から検出されるのですか?
      • Q44 毛髪鑑定に必要な毛髪量はどのくらいですか?
      • Q45 頭髪資料はどの部位から採取したらいいのですか?
      • Q46 頭髪以外の毛も資料とすることができますか?
      • Q47 毛髪の採取は、 抜去法でなければいけませんか?
      • Q48 毛髪鑑定はどのように実施されるのですか?
      • Q49 尿鑑定と毛髪鑑定とでは、 得られる覚醒剤使用歴に関する情報がどのように異なるのですか?
      • Q50 毛髪鑑定により、 覚醒剤の使用時期の推定は可能ですか?
      • Q51 脱色、 染色などの処理は毛髪鑑定結果に影響を与えますか?
  • 覚醒剤の微量薬物分析
      • Q52 覚醒剤の微量薬物分析 (不純物プロファイル分析) とはどのようなものですか?
      • Q53 覚醒剤に含まれる微量不純物とはどのようなものですか?
      • Q54 微量薬物分析に必要な資料量はどのくらいですか?
      • Q55 微量薬物分析はどのように実施されるのですか?
      • Q56 覚醒剤物件の類似性の照合はどのように実施されるのですか?

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