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刑事眼(デカガン)
伝説の刑事の事件簿

編著/監修
三沢 明彦
体裁
四六判  360ページ
定価
1,980 円(消費税込み)
本体価格+税
1,800 円+税
ISBN
ISBN978-4-8090-1236-5
C0036 \1800E
発行日
平成22年5月28日
初版発行
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本書の特長

敏腕記者が描く 本物のプロの技と心意気!
3,000人の特癖を記憶する手口捜査官、
現場の勝負にこだわるモサ(スリ)刑事、
一瞬のすれ違いに賭ける見当たり捜査官……
伝説の刑事たちへのインタビューを通じて、犯罪の本質と捜査の要諦を探る。

はしがき

鷹の眼と蟻の眼―鑑識の世界に伝わる言葉である。

現場を大きく見渡して事件の全容をつかむ。なぜあの被害者に、あるいは家に犯人が狙いを定めたのか。どこから侵入してどこに去ったのか。前足と後ろ足である。動機は何だろう。現場にカンがあるのか。街全体を頭に描きながら、なぜ、そしてどのようにホシ(犯人)が犯行に及んだのかを推理する。鷹の眼である。

そのうえで、現場周辺を徹底的に観察する。鑑識ならば床に這いつくばり、蟻の眼で髪の毛一本見落とさない。刑事なら現場百遍。行き詰まったときには現場に戻る。一軒一軒丹念に聞き込みを続ける「地取り」は捜査の基本である。手抜きをすれば、もはやプロではない。刑事と名乗れなくなる。

何千人もの泥棒の手口を記憶する手口捜査官、モサと呼ばれる凄腕スリとの真剣勝負に賭ける刑事、雑踏から手配犯をあぶりだす見当たり捜査官……。本書に登場する刑事たちは師匠の技を盗み、厳しい現場で長年鍛え上げられ、ようやく「自分は刑事だ」と胸を張れるようになったのだという。スリ刑事は「現場を捨てたら眼が死ぬ」と話した。

それはまさに職人の世界である。

彼らは「眼」がすべてだと口をそろえる。現場に残されたわずかな特癖を見逃さない。かすかに視線が落ちる「スリ眼」を拾う。何時間にも及ぶ尾行では、ホシの心を読んで、だまし、だまされあいの心理戦を繰り広げる。

自らの眼を信じて、ひたすらホシを追い続ける伝説の刑事たち。愚直なまでの彼らの生き方は、低迷する日本社会に「本物のプロとは何か」と問いかけている。

平成22年4月

三沢 明彦


目次

  • 第一章 形無きを見る
    •  
      • 明治維新後、日本警察の礎を築いた川路利良(大警視)は探索の心得として「声なきに聞き、形無きを見る」と語った。泥棒の手口には癖がある。それは「無形の遺留」とも言われる。手口捜査官は現場の無言の声に耳を澄ます。
  • 第二章 無用の用
    •  
      • 「無用の用」とは荘子の言葉。一見無意味と思われることもいつかは役立つ。この世に無意味なものはない。手口捜査官はそう信じ、泥棒にまつわる情報を丹念にメモしてきた。それがやがて生きることになる。
  • 第三章 泥棒語り
    •  
      • 全国を渡り歩いた大泥棒がいた。彼は旅先から刑事に手記を送り続けた。自分の話を真剣に聞いてくれる相手は結局、刑事しかいなかったのである。三冊の大学ノートには闇に生きた男の深い孤独がにじんでいた。
  • 第四章 一瞬に賭ける
    •  
      • 時効という言葉が嫌いや。見当たり捜査官はそう言った。何百人もの手配犯の顔を頭にたたき込み、雑踏から探し出す。特別な能力なんていらん。ひたすら写真を見て、現場に出る。見当たりばかですわ。
  • 第五章 落ちる眼、スリ眼を追う
    •  
      • 腕のいいスリはモサと呼ばれる。スリの刑事は獲物を狙って落ちる視線を拾う。それがスリ眼である。彼らは師匠の背中を見ながら、何年もかかってモサと対決する技を自分のものにする。まさに職人の世界である。
  • 第六章 真剣勝負を捨てたら、眼が死ぬ
    •  
      • 獲物に当たらない日々。スランプに陥ったとき、上司に「的やれ」と命じられた。自宅から尾行しろ。罠を仕掛けろということだ。しかし、スリ刑事には現場勝負こそが命。彼は拒絶した。弟子が俺の背中を見ている、と。
  • 第七章 鷹の眼と蟻の眼
    •  
      • なぜ、なぜ、一体なぜこの家が狙われたのか。カラ(未遂)を踏んだなら、なぜ中断したのかを考える。現場に立った刑事は何度も自分に問いかけるのだという。「なぜ」から始まる泥棒刑事の眼は捜査の基本である。
  • 第八章 答えは現場にある
    •  
      • 捜査に階級は関係ない。偉いのは強い刑事。被疑者を落とせる刑事。泥棒刑事は捜査を狩りに例えた。相手に気付かれれば逃げられる。ライオンはどんな小さな獲物でも手を抜かない。デカも同じだ、と。
  • あとがき

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