判例学習の重要性

各種法令、特に刑事法令は、法の一般原則を示しているため、形式的・抽象的な規定が多くなっています。これに対し、判例は、裁判所が具体的事件を解決するため、法令の意味内容を明らかにしたり、判断基準を示したりしています。このため、法執行にかかわる実務家にとって、実際に起こる事件を解決に導くためには、多くの判例をケース・スタディとして学んで、判例の考え方を身につけることが一番の近道となっています。

警察官の皆さんは、第一線の現場において、各種法令を遵守して適正な法執行活動を行うことが求められています。他方で、実際の社会事象は広範・多岐にわたり、新たな課題も生じており、どのような法令に基づいて法執行を行うのが適切なのか判断にとまどうこともあろうかと思います。

そのような場合、具体的事件に即して判断が示されている判例を数多く学んでおくことは、多くの道具を事前に準備しておくことになり、現場で直面する事案に応じて適切な対処方針を立て、応用問題も含めて事案を適正に処理することが可能となります。

私は、このような理由から、多くの判例を題材として紹介し、実務における活動を応援していきたいと考えています。そのため、題材となる判例の事案概要や判例要旨等は要約し、判例のポイントを加えるなどして、短時間に数多くの判例を学んで理解していただくように努めています。

江原 伸一

著者略歴
1980年警察庁入庁。富山県警察本部長、科学警察研究所総務部長、岡山県警察本部長、中国管区警察局長等を歴任し、2014年退職。

主要著書
生活安全警察 110判例 表紙 交通警察 110判例 表紙 刑事警察 110判例 表紙 本シリーズは、生活安全・交通・刑事などの分野ごとに、実務に役立つ判例をコンパクトにまとめた判例集です。