1 日本人の感覚に気づく 天災というものは,予知が不可能だからこそ,天災というのかもしれません。これだけ科学技術が発達した現在でも,予知はなかなか難しく,過去の出来事から推測して対処する,つまり,「防災」という発想こそが,最大の防御ということではないでしょうか。それが「防災計画」ですが,今回は,その想定を大きく超えた地震,津波,そして原発という複合的な大災害となっていることが,対処を困難にしています。これが,一つひとつの災害への対処であったら,まだ……と考えるのは,私だけでしょうか?
 日本は,昔から災害に見舞われることが多く,それが日本人の無常観や死生観につながっているという分析があります。
 外国の場合,国家・国民にとって最大の脅威とは何かを考えてみると,多くの国は他国と陸続きであるために,常に外国からの「侵略」という脅威と隣り合わせでした。それに対処するため,例えば,王室の関係者を遠い外国に住まわせたり,財産を分散したり,他国と友好関係を構築したりと,侵略という脅威を強く意識した国づくりが主流であったとされています。
 ですから,国民も,国家というものに対する意識が非常に高く,国家に忠誠を尽くすことは,すなわち,国家が国民を守る契約にもなっていたという説もあります。国家を維持していくためには,常に,侵略・戦争の危機があり,その危機感が災害に対するそれよりも大きかったというわけです。
 一方において,日本は島国であったことが幸いし,鎌倉時代の元冠が,最大の侵略の危機であったとさえいわれます。黒船の来航も侵略ではなく,開国を迫り貿易を活発にするための経済活動であったとされているのです。確かに,戦国時代においては内戦的な状況も起きていますが,これも局地的,さらに,農繁期を除いた短期間で終結するようなものでした。ですから,外国のように,常に侵略への危機感をもった生活とは違っていたとされています。
 日本における脅威は,災害や疫病の流行であったとされています。こうしたものは人の力では防ぐことが難しく,結果として,神仏に祈るという形になったため,日本には神社仏閣が多く存在し,多くの仏像が残存し,また,多彩な宗教・宗派も存在しています。そして,民間信仰でも,八百万の神など自然崇拝があります。これらのことが,日本人独特の死生観,無常観,宗教観を形成していったともいわれます。
今回の主な被災地である東北地方には,そうした日本古来の伝統文化・精神が残り,さらに,気候的にも雪に閉ざされる厳しい時期が長いことなどもあり,「忍耐強い」のだという説もあります。また,常に災害に遭っている状況が,「あきらめの哲学」として根付いているのだとか,何度も何度も,そうした危機から立ち直ってきた経験として,「団結の復興」というような考え方もあるともいわれます。
 世界の国々では,同じような災害があった場合,人々は泣き叫び,政府を非難し,不安感が増幅して強奪・襲撃といった行動に発展していくことが多いようです。今回,日本でも一部では,残念というのか,許せないような窃盗事件などが現地で発生したようです。これらはしっかりと捜査をしていく必要があり,今後の発生を抑止するためには全国警察からの応援も不可欠です。
 しかし,世界の国々から,日本人,とりわけ東北人の「礼節」,「忍耐」に対する驚きと称賛,そして支援が寄せられていることは事実です。ただし,ずっと我慢を続けることは不可能です。復興に向けた政府の計画も始まっています。これからも,「復興に向けた団結力」を世界各国に向けて発信し,また,世界各国との協調を図っていかなければならないでしょう。
 今,福島原発周辺地域を除いて,生存に必要な最低限の「生命の安全」は一応確保され,次いで,避難所から仮設住宅へといった住居計画も始まったようです。これからは,就業,教育とともに,「安全・安心」の確保が求められます。警察官も全国から派遣されていますが,被災地の方々のニーズに応えるためには,まだまだ足りないものと考えられます。
 復興のためには,被災地の治安の安定がまず不可欠です。こればかりは,精神論だけを頼りに取り組んでいくことは難しいものであり,警察力による対処が必要であると考えられます。
 被災地警察の職員は,疲弊しています。皆さんには,本当に頭が下がります。これも,外国から称賛されていることですが,そうはいっても限界があります。
 今こそ,全国からの応援派遣をはじめ,日本警察が一体となって支援を行う時です。2 まずは災害対策基本法――その目的から 災害といったらまず思い浮かべる法律は,「災害対策基本法」ですね。
 まずは,基本となる法の中で,被災地警察官の活動,派遣警察官の活動がどのように規定されているのか,気づいてみましょう。
 法の目的は第1条で,「この法律は,国土並びに国民の生命,身体及び財産を災害から保護するため,防災に関し,国,地方公共団体及びその他の公共機関を通じて必要な体制を確立し,責任の所在を明確にするとともに,防災計画の作成,災害予防,災害応急対策,災害復旧及び防災に関する財政金融措置その他必要な災害対策の基本を定めることにより,総合的かつ計画的な防災行政の整備及び推進を図り, もつて社会の秩序の維持と公共の福祉の確保に資することを目的とする。」と規定されています。
 この目的を分解してみると,「防災」というものが主体であることが分かります。その上で,万が一災害が発生した場合の措置について,具体的な規定がされているようです。3 国や自治体の責務は「防災」⑴ 責務規定
 災害対策基本法では,国や都道府県,市町村の責務が規定されています。
ア 国の責務
 第3条では,国の責務について規定されています。
 「国は,国土並びに国民の生命,身体及び財産を災害から保護する使命を有することにかんがみ,組織及び機能のすべてをあげて防災に関し万全の措置を講ずる責務を有する。」,第2項では,「国は,前項の責務を遂行するため,災害予防,災害応急対策及び災害復旧の基本となるべき計画を作成し,及び法令に基づきこれを実施するとともに,地方公共団体,指定公共機関,指定地方公共機関等が処理する防災に関する事務又は業務の実施の推進とその総合調整を行ない,及び災害に係る経費負担の適正化を図らなければならない。」とされており,ここでも防災が中心です。
イ 都道府県等の責務
 第4条では,都道府県の責務が規定されていますが,ここでも住民保護や防災です。
 第5条では,市町村の責務が規定されていますが,ここでも防災が主体です。
 第7条では,住民等の責務が規定されており, 「地方公共団体の区域内の公共的団体,防災上重要な施設の管理者その他法令の規定による防災に関する責務を有する者は,法令又は地域防災計画の定めるところにより,誠実にその責務を果たさなければならない。」,第2項では,「前項に規定するもののほか,地方公共団体の住民は,自ら災害に備えるための手段を講ずるとともに,自発的な防災活動に参加する等防災に寄与するように努めなければならない。」とされているのです。
⑵ 災害対策本部
ア 災害対策本部の設置
 第23条では,災害対策本部について規定されています。
 ここでは,第1項で,「都道府県又は市町村の地域について災害が発生し,又は災害が発生するおそれがある場合において,防災の推進を図るため必要があると認めるときは,都道府県知事又は市町村長は,都道府県地域防災計画又は市町村地域防災計画の定めるところにより,災害対策本部を設置することができる。」とされています。
 台風のように,一定の予想ができる場合は,被害のおそれがある段階でも災害対策本部が設置されるのが普通です。しかし,地震やそれに伴う津波の場合は,発生後になってしまいます。
イ 人員構成と指示
 第2項では,「災害対策本部の長は,災害対策本部長とし,都道府県知事又は市町村長をもつて充てる。」,第3項では,「災害対策本部に,災害対策副本部長,災害対策本部員その他の職員を置き,当該都道府県又は市町村の職員のうちから,当該都道府県の知事又は当該市町村の市町村長が任命する。」とされており,第6項では,「都道府県の災害対策本部長は当該都道府県警察又は当該都道府県の教育委員会に対し,市町村の災害対策本部長は当該市町村の教育委員会に対し,それぞれ当該都道府県又は市町村の地域に係る災害予防又は災害応急対策を実施するため必要な限度において,必要な指示をすることができる。」とされています。
 つまり,警察に対する都道府県知事の指示が,限定的ではあっても規定されているのです。通常は,都道府県災害対策本部に警察本部長や本来参加が予定されていない自衛隊等からも参加して対処しています。
 なお,応急対策に一応のめどがついた段階で,「復興本部」と称されるような組織に事務が移管されたりすることが多いとされています。
ウ 警察本部長
 都道府県警察は,地方自治法第156条で,「普通地方公共団体の長は……法律又は条例の定めるところにより,保健所,警察署その他の行政機関を設けるものとする。」とされていますので,警察本部長は,災害対策本部員となります。
⑶ 国の対策本部
 第2章第3節では,「非常災害対策本部及び緊急災害対策本部」の設置等について規定されています。
 ここでは,第24条で,「非常災害が発生した場合において,当該災害の規模その他の状況により当該災害に係る災害応急対策を推進するため特別の必要があると認めるときは,内閣総理大臣は,内閣府設置法第40条第2項の規定にかかわらず,臨時に内閣府に非常災害対策本部を設置することができる。」,第2項では,「内閣総理大臣は,非常災害対策本部を置いたときは当該本部の名称,所管区域並びに設置の場所及び期間を,当該本部を廃止したときはその旨を,直ちに,告示しなければならない。」とされています。
 非常事態発生時においては,国にも対策本部を設置することができるとされているのです。
⑷ 国の非常災害対策本部
ア 非常災害対策本部の組織
 第25条において規定され,第1項では,「非常災害対策本部の長は,非常災害対策本部長とし,国務大臣をもつて充てる。」,第2項では,「非常災害対策本部長は,非常災害対策本部の事務を総括し,所部の職員を指揮監督する。」,第3項では,「非常災害対策本部に,非常災害対策副本部長,非常災害対策本部員その他の職員を置く。」,第4項では,「非常災害対策副本部長は,非常災害対策本部長を助け,非常災害対策本部長に事故があるときは,その職務を代理する。非常災害対策副本部長が2人以上置かれている場合にあつては,あらかじめ非常災害対策本部長が定めた順序で,その職務を代理する。」,第5項では,「非常災害対策副本部長,非常災害対策本部員その他の職員は,内閣官房若しくは指定行政機関の職員又は指定地方行政機関の長若しくはその職員のうちから,内閣総理大臣が任命する。」とされています。
イ 非常災害現地対策本部の設置
 第25条6項では,「非常災害対策本部に,当該非常災害対策本部の所管区域にあつて当該非常災害対策本部長の定めるところにより当該非常災害対策本部の事務の一部を行う組織として,非常災害現地対策本部を置くことができる。この場合においては,地方自治法第156条第4項の規定は,適用しない。」とされています。
前記⑵ウで述べたように,地方自治法第156条第1項では,「普通地方公共団体の長は,前条第1項に定めるものを除く外,法律又は条例の定めるところにより,保健所,警察署その他の行政機関を設けるものとする。」とされています。
 そこで,同法同条第4項の規定を確認すると,「国の地方行政機関……は,国会の承認を経なければ,これを設けてはならない。国の地方行政機関の設置及び運営に要する経費は,国においてこれを負担しなければならない。」というものですが,これが適用除外になるということです。
ウ 非常災害対策本部の所掌事務
 第26条で,非常災害対策本部の所掌事務について規定されています。
 第1項第1号では,「所管区域において指定行政機関の長,指定地方行政機関の長,地方公共団体の長その他の執行機関,指定公共機関及び指定地方公共機関が防災計画に基づいて実施する災害応急対策の総合調整に関すること。」,第2号では,「非常災害に際し作成される緊急措置に関する計画の実施に関すること。」,第3号では,「第28条の規定により非常災害対策本部長の権限に属する事務」,第4号では,「前各号に掲げるもののほか,法令の規定によりその権限に属する事務」が,それぞれ規定されています。
⑸ 指定行政機関等
ア 指定行政機関
 第2条第3号の規定により,内閣総理大臣が指定する指定行政機関が定められており,平成21年8月28日内閣府告示第344号では,次のとおり規定されています。
内閣府,国家公安委員会,警察庁,金融庁,消費者庁,総務省,消防庁,法務省,外務省,財務省,文部科学省,文化庁,厚生労働省,農林水産省,経済産業省、資源エネルギー庁,原子力安全・保安院,中小企業庁,国土交通省,国土地理院,気象庁,海上保安庁,環境省,防衛省
イ 指定地方行政機関
 第2条第4号の規定により,内閣総理大臣が指定する指定地方行政機関としては,次のとおり規定されています。
沖縄総合事務局,管区警察局,総合通信局,沖縄総合通信事務所,財務局,水戸原子力事務所,地方厚生局,都道府県労働局,地方農政局,北海道農政事務所,森林管理局,経済産業局,産業保安監督部、那覇産業保安監督事務所,地方整備局,北海道開発局,地方運輸局,地方航空局,管区気象台,沖縄気象台,管区海上保安本部,地方環境事務所,地方防衛局
ウ 指定公共機関
 第2条第5号の規定により内閣総理大臣が指定する指定公共機関としては,次のとおり規定されています。
独立行政法人防災科学技術研究所,独立行政法人放射線医学総合研究所,独立行政法人日本原子力研究開発機構,独立行政法人国立病院機構,独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構,独立行政法人森林総合研究所,独立行政法人水産総合研究センター、独立行政法人土木研究所,独立行政法人建築研究所,独立行政法人海上技術安全研究所,独立行政法人港湾空港技術研究所,独立行政法人水資源機構,独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構,日本銀行,日本赤十字社,日本放送協会,東日本高速道路株式会社,首都高速道路株式会社,中日本高速道路株式会社,西日本高速道路株式会社,阪神高速道路株式会社,本州四国連絡高速道路株式会社,成田国際空港株式会社,関西国際空港株式会社,中部国際空港株式会社,北海道旅客鉄道株式会社,東日本旅客鉄道株式会社,東海旅客鉄道株式会社,西日本旅客鉄道株式会社,四国旅客鉄道株式会社,九州旅客鉄道株式会社,日本貨物鉄道株式会社,日本電信電話株式会社,東日本電信電話株式会社,西日本電信電話株式会社,郵便事業株式会社,郵便局株式会社,東京瓦斯株式会社,大阪瓦斯株式会社,東邦瓦斯株式会社,日本通運株式会社,北海道電力株式会社,東北電力株式会社,東京電力株式会社,北陸電力株式会社,中部電力株式会社,関西電力株式会社,中国電力株式会社,四国電力株式会社,九州電力株式会社,沖縄電力株式会社,電源開発株式会社,日本原子力発電株式会社,KDDI株式会社,株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ,エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
エ 指定地方公共機関
 第2条第6号の規定に基づく指定地方公共機関としては,次のとおり規定されています。
 愛知県土地改良事業団体連合会,愛知県尾張水害予防組合,名古屋港管理組合,中部瓦斯株式会社,犬山瓦斯株式会社,津島瓦斯株式会社,社団法人愛知県トラック協会,名古屋鉄道株式会社,近畿日本鉄道株式会社,豊橋鉄道株式会社,名古屋臨海鉄道株式会社,衣浦臨海鉄道株式会社,愛知環状鉄道株式会社,株式会社東海交通事業,名古屋臨海高速鉄道株式会社,愛知高速交通株式会社,株式会社中日新聞社,株式会社朝日新聞社,株式会社毎日新聞社,株式会社読売新聞社,社団法人名古屋タイムズ社,株式会社中部経済新聞社,株式会社日本経済新聞社,株式会社産業経済新聞社,株式会社時事通信社,社団法人共同通信社,中部日本放送株式会社,東海ラジオ放送株式会社,東海テレビ放送株式会社,名古屋テレビ放送株式会社,中京テレビ放送株式会社,株式会社エフエム愛知,テレビ愛知株式会社,株式会社ZIP−FM,愛知国際放送株式会社,愛知県道路公社,名古屋高速道路公社,社団法人愛知県医師会,社団法人愛知県歯科医師会,社団法人愛知県薬剤師会及び社団法人愛知県エルピーガス協会
オ 指定行政機関の長の権限の委任
 第27条第1項で,「指定行政機関の長は,非常災害対策本部が設置されたときは,災害応急対策に必要な権限の全部又は一部を当該非常災害対策本部員である当該指定行政機関の職員又は当該指定地方行政機関の長若しくはその職員に委任することができる。」と規定されています。
カ 非常災害対策本部長の権限
 第28条に規定があり,第1項では,「非常災害対策本部長は,前条の規定により権限を委任された職員の当該非常災害対策本部の所管区域における権限の行使について調整をすることができる。」,第2項では,「非常災害対策本部長は,当該非常災害対策本部の所管区域における災害応急対策を的確かつ迅速に実施するため特に必要があると認めるときは,その必要な限度において,関係指定地方行政機関の長,地方公共団体の長その他の執行機関並びに指定公共機関及び指定地方公共機関に対し,必要な指示をすることができる。」,第3項では,「非常災害対策本部長は,非常災害現地対策本部が置かれたときは,前2項の規定による権限の一部を非常災害現地対策本部長に委任することができる。」,第4項では,「非常災害対策本部長は,前項の規定による委任をしたときは,直ちに,その旨を告示しなければならない。」と,それぞれ規定されています。
 また,非常災害対策本部の設置については,前述のとおり第24条第2項において規定され,その権限が及ぶ範囲は告示区域に限られます。
キ これまでに非常災害対策本部が設置された災害
以下のとおりです。
 昭和52年有珠山噴火非常災害対策本部、昭和53年伊豆大島近海の地震非常災害対策本部、同じく宮城県沖地震非常災害対策本部、昭和54年台風第20号非常災害対策本部、昭和57年豪雨非常災害対策本部(いわゆる長崎大水害),昭和58年日本海中部地震非常災害対策本部,昭和58年7月豪雨非常災害対策本部(いわゆる山陰豪雨),昭和58年三宅島噴火非常災害対策本部,昭和59年長野県西部地震非常災害対策本部、平成3年雲仙岳噴火非常災害対策本部、平成5年北海道南西沖地震非常災害対策本部、平成5年8月豪雨非常災害対策本部、平成7年兵庫県南部地震非常災害対策本部(いわゆる阪神・淡路大震災),平成9年ダイヤモンドグレース号油流出事故非常災害対策本部(いわゆる東京湾原油流出事故),平成12年有珠山噴火非常災害現地対策本部,平成12年三宅島噴火及び新島・神津島近海地震非常災害対策本部,平成16年台風第23号非常災害対策本部,平成16年新潟県中越地震非常災害対策本部
 このように,指定行政機関等としては,私たちの日常生活に欠かせないインフラ企業までが数多く「指定」されています。災害対策基本法とは,まさに,これら関係機関が一体となって災害に対処していこうという法律なのです。
 今回の震災に関連する根拠法令が多数あることは分かっていました。しかし,災害対策基本法一つをとってみても,これほどまでに複雑になっているものとは思いませんでした。やはり,まさに今,現在進行形で推移している事態と,それに対処するための諸活動については,法的根拠など基本的なところをきちんと把握しておかなければならない,更に言えば,災害(という(非常)事態)が発生して初めて「気づかされる」のではなく,日頃からの研鑽や備えの意識が必要であるということを,今さらながらに感じました。事に当たって勉強のきっかけとすることはもちろんありますが, 日々の勉強は,昇任試験突破のためのみならず,警察官の活動原理として必要なものであるという根本を忘れてはなりません。
 次回からはもう少しスピードアップして,避難等の措置,警察官による交通整理など,より実践的な面についても気づいていけるとよいと考えているのですが……。
 読者の皆さんの疑問等も,編集室宛てにお寄せください。